インダストリアル・サポート・サービス・インドネシア(ISSI)が目指すもの

インドネシアは天然資源の豊富な国である。にもかかわらずルピアの価値
は年々落ち続けている。国民経済を苦しめている石油燃料に対する補助金の
削減、それに伴う物価の上昇はこのルピア安に起因するところが実に大きい。
 また、インドネシアは地球の肺と称されるほどの豊かな森林の保有国であ
る。しかしながら、その森林は年々、着実に減ってきている。森林破壊によ
る自然災害も年々増加傾向にある。現在、インドネシアの森林破壊の問題は、
インドネシア国内だけの問題ではなく、国際的な問題となっている。この森
林破壊は「外国の木材よりインドネシアの木材の方が安い」という単純な理
由により行われる。
 日本では昔から建設用木材として針葉樹の植林が進んでいる。しかし、イ
ンドネシアなどからのより安い木材に押され、建築用木材として植林された
林の管理が行き届かなくなってきている。間伐があまり行われなくなり、植
林された針葉樹は細いまま背が高くなっている。細いまま高くなった木は大
雪や台風に耐えられなくなって倒れてしまう。そのことにより麓の町や村に
洪水や鉄砲水をもたらす。この現象も「日本の木材より外国の木材の方が安
い」ことのもたらす「森林破壊」といっても良いだろう。
 このように、インドネシアにおける物価の上昇、日本やインドネシアにお
ける森林破壊の根本的な原因は「ルピア安」にあると言えるであろう。
 それでは、どうして「ルピア安」が起こるのか。為替レートの変動は純粋
な経済原理、つまり需要と要求の関係で成り立っている。ルピアに対する要
求が少なく、インドネシア国内における外貨の需要が高いからルピア安にな
る。もっと判りやすく言えば輸出より輸入が大きいからルピア安になる。
 どうして天然資源の豊富なインドネシアの輸入が大きくなるのか。その一
つの原因は技術を必要とする付加価値の高い分野を外国に頼っているからで
ある。原材料をそのまま輸出し、一次加工されたものを輸入し、組み立てて
再輸出する。これが現在のインドネシアにおける産業のパターンである。こ
の流れの中で一番付加価値の高いのは一次加工であり、この一次加工の分野
で技術が要求される。
 逆に言うならば、一時加工を自力で行う能力があれば付加価値の高い分
野を外国に任せなくて済むということになる。「一次加工を自力で行う能力」
を高めることがルピアの価値を高め、物価上昇や森林破壊に対処する一つの
大きな努力であると確信する。
 現在、日本では「一次加工の能力」を持った多くの技術者が定年を向かえ
ている。その技術者の中には何らかの形で世界に貢献したいと思っている人
も少なくない。そのような人たちにインドネシアで「一次加工の能力」を高
める為の指導をしてもらうことができればお互いに利益をもたらすことがで
きる。
 ルピアの価値を高める為のもう一つの道がある。それは投資の拡大だ。日
本企業がインドネシアに進出するに当たっていくつかの問題がある。インド
ネシアの法的整備、インドネシア人作業者のレベル、コミュニケーションと
いったものだ。この問題に対処することができれば更に投資を拡大し、ルピ
アの価値を高めることができると考える。
 以上のような考え方からインドネシアの産業を発展させるべく、ISSI はソ
フト面、ハード面を含めた以下の活動を目指していく。
A.  ソフト面
1. 日本人技術者がインドネシア技術者を養成するための支援、基盤作り
2. インドネシア人労働者スキルアップの為の支援
3. 将来、インドネシアの産業を発展させる人材の育成
4. インドネシア人に対する日本語教育
5. 広告、宣伝によるインドネシア国内産業の活性化
6. インドネシア、日本間のコミュニケーション、文化交流の推進
7. インドネシア国内の日本企業に対する運営支援

B,  ハード面
1. 治具、ツール提供サービス
2. メンテナンスサービス
3. IT サービス

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